正常子宮出血(月経)の定義
頻度,規則性,期間.量について理解する.正常についての記載であり,ピル(避妊や月経前症候群治療薬としてのエストロゲン・プロゲスチン製剤),GnRHアゴニスト(子宮内膜症,子宮筋腫,閉経前乳癌,前立腺癌等の治療薬),GnRHアンタゴニスト(子宮筋腫治療薬),アロマターゼ阻害剤(閉経後乳癌治療薬),選択的エストロゲン受容体超節薬(SERM:骨粗鬆症の治療薬)を内服している場合は,以下の記述は必ずしも該当しない.
頻度- 正常頻度は24日から38日ごとに月経出血が始まることである.
規則性- 周期はある生理の1日目から次の生理の1日目までの日数として定義される.周期変動(最も短い周期と最も長い周期の差)は年齢によって異なり以下の場合は正常(規則的)と判断する.
-18〜25歳 -周期変動≦9日
-26~41歳 -周期変動≦7日
-42~45歳 – 周期変動≦9日
18歳未満および45歳以上の患者では排卵の頻度が低い,あるいは予測できないことが多くこの集団における正常な規則性の定義は困難である.
★つまり26歳以上41歳未満の女性であれば,予定周期から1週間生理が来なければ遅れていると判断する.
期間- 1回の月経における正常な出血日数は8日以下である.月経期間の短さに関連する特定の病態が存在しないため月経期間の正常値の下限に関するコンセンサスはないとされる.
月経量 – 正常な月経量は主観的なもので患者の身体的,社会的,感情的,物質的な生活の質を妨げない月経血量と定義される .月経血量(血餅を含む)の定量分析を伴う研究によれば,正常の定義は1周期あたりの月経血量が80mL以下であることである.
★過多月経を疑う問診:3cm以上(1.1インチ以上)の血餅,1時間間隔で生理用品を交換する場合,就寝中も生理用品を交換する場合は過多月経を疑う[2]
月経周期について
月経周期は卵胞期と黄体期の2期に分けられる.卵胞期は月経の開始とともに始まり黄体形成ホルモン(LH)サージの前日に終了する.黄体期はLHサージが起こった日に始まり次の月経の始まりに終わる.
[1] UpToDate®.“Normal menstrual cycle”.2022.UpToDate
[2] PMID: 15167821