退院サマリーを非常に細部まで指導を頂戴した。書き直したが一部に見落としがあり、指導医が「二度目だよね」と怒りを滲ませたのは仕方ない。
指導医によってスタンスがちがう。
私はいい加減こうしたことに慣れないといけないが、生来の粗忽のせいなのかよく手抜かりがある。
担当していたこどもたちは幸いなことにみんな元気になり退院した。私は深く神様に感謝する。
しかし指導医から叱られたり(それがありがたいことはわかっている)一年目から嫌がられたりすると落ち込む。私は弱い人間である。褒められたり気にかけられたりしたい。
私は白山のことを考えた。
白山は日本を代表する霊山のひとつであり美濃と越前と加賀にまたがる。
生まれ変わりの山でもある。白山の神は菊理媛命と申し、伊奘諾命が冥府より戻ったときに現れた神である。
白山はとても特別な山で私は大好きな山だ。一番の山だと思う。
東の山々、美濃の山々が気にかかるので、何とはなしに色々地図で調べていたら美濃禅定道に行き合った。
白山に登るのは休みが取れない。しかし禅定道の社に参るのはあるいは可能かもしれない。
私はいつも答えを期待している。なにかこうしたらよいという方に導かれることを期待している。また、今後の苦しみが避けられることを期待している。仏に手を合わせる時は、キリスト教的に言えば煉獄にあるだろう私の先祖が救われることを期待して灯明を上げる。
私は知らず知らずのうちに白山の神に助けられてきている。登るたびに大きな慰めを得る。その気分のまま、下界で暮らし続けられたらいいなといつも思う。しかし私の心は揺れ動く。
私は週末、天気が許せば美濃禅定道に向かいたく思った。
空谷子しるす