宇佐八幡宮は国東半島の付け根にある。神武の帝にゆかりがあり、もともとは宗像三女神が御許山に降臨したのが始まりともいい、八幡神が大神比義の前に顕われた土地である。
大きな参道沿いに「ねぎ焼き」を売っていた。
「ねぎ焼きですよ。どうですか」と中年の女性が呼び込む。彼女ひとりで店を回している。
ねぎ焼きを食べながら宇佐とはどういう土地なのだろうとぼんやり考えた。
参拝は叶った。
八幡宮の広大な神域を後にして私は駅に向かって歩き始めた。
はるかに山々が聳える。かつては内陸深くまで海岸線があり、今に田畑に見えるところは恐らく全て海であったろう。
私は歩いた。台風が近づいているらしかったが雨も降らず、雲はむしろ次第に薄くなるようだった。
青い山を見ながら歩いていくと生きている気分になる。
世は揺れ動くようだが本当のところは動かない。
頭で考えるより(正しいことにあっては)素直に思ったほうが良いように思われた。
八幡神は不思議である。
空谷子しるす