私は子どもが怖い。彼らの社会的な人格は未熟だが彼らの自然の威力は大きい。
彼らの自然は複雑で彼らはそれを表現する術を知らない。あらゆる理不尽な形で私たちを試す。私はその表現がわからない。彼らをどうすればいいのかわからない。
岩宮恵子の「生きにくい子どもたち」をI先生に薦められて読んだ。一対一の土壇場で彼女はどうやって生き抜いてきたのかわからない。
「普通」の人々が、大きな労力を払い続けて「適応」し続けていることを思う。
広瀬香美が「ゲレンデが溶けるほど恋したい」歌の中で性格変えた方がいいかもよと言う。「普通」の人々は適応するために労力を費やして性格を変えることができるのかもしれない。元の自分というものが死んでいくことの恐怖に耐えることに慣れていく過程が適応なのかもしれない。
果たしてこの世の中は適応する価値があるのかと思い続けてきた。神社、カトリック、一部の寺、本屋に生かされてきた私には現実界は痩せて見える。私は適応していないからだ。適応していないから毎日苦しみがある。普通の人々は適応しようとしない私を無意識的に憎しみ侮蔑し無関心になるかもしれない。
岩宮恵子氏は異界に片足を突っ込みながらどうして異界の子どもたちの助けになれるのかわからない。驚異的な知能と体力と精神力の持ち主かと思う。
私はいよいよ怖くなった。
私は頭で考えると間違う。良いように導かれることを祈り求める。
空谷子しるす