癌性髄膜炎
なんとも酷い病だ。
そばで見るに、おそらくは、ひどい二日酔いのような頭痛と嘔気が続いているのだろう。
我が子の泣き声ですら、時に痛みを増す原因となっているようだ。
1週間以上前から少し話すだけで息は切れていた。
それでもまだわずかにリビングで食事はできていた。
ここ数日は臥床が続いている。食事は何もとれない。
今日はトイレにも行けなくなっていた。
2日前はまだ笑う余裕があった。
僕は彼に偉大なお説教をした。
僕「お前が弱音を吐かずに一人で戦ってるのは、よう分かってる。言いたいこと色々あるやろうに。こらえて戦ってるんやな。きついな。大丈夫大丈夫。何があっても大丈夫なんや。大いなるものにゆだねてごらん。」
N「Iさん、松岡修造みたいですね。ありがとうございます。Iさんのちんぽこに拝んどきます」
僕「俺のちんぽこにか?けったいな奴やな。ええけど。ちゃんと賽銭置いてけよ」
病床に笑いの花が咲いていた。
(ちなみに、Nは松岡修造と言って僕をバカにしているのではないことを付言しておく。彼は病床で松岡修造の言葉をよく聞いているのだ。)
今日は呼びかけにごくわずかに応じるのみだった。
表情はとても穏やかだった。
点滴は減らされさなければならない。