『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』 

上間陽子、『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』、太田出版、2017年

本を買ったのはいつのことだったか、4、5年読んではやめてを繰り返していた。

沖縄でキャバクラや援助交際をしている少女たちを取材した記録だが、著者はその原稿を本人に読み上げ確認してもらっている。だからこれは彼女たち自身へのメッセージも込めて書かれたものでもあるだろう。社会学で語られる大文字の言葉は使わずに書かれている。

沖縄の男だけが、というわけではないだろうが、どうしようもない男たちがたくさん出てくる。DV、レイプ、彼女に援助交際をさせる男、等々。

安心できる居場所を彼女たちは自分で探さなければならなかった、裸足で逃げるしかなかった少女たちの記録。

読んでいると、こども食堂をしたい、寺子屋をしたい、図書館をしたい、バーをしたい、全部一緒にやってしまいたい、という衝動がおさえがたくわいてくる。

バーテンダーというのは優しい止まり木という意味らしいが、止まり木が、居場所がないのは何よりつらい。

話したくないことは話さなくていいし話したいことは話せばいい、そういう居場所をつくりたい。

著者はこの本を、子供が寝静まった深夜に書いていたという。私も家族が寝静まった部屋でこれを書いている(どうでもいいだろうが)。言いたいのは、社会学的な調査であっても、書かれたものは本来書き手の生活とは切り離せない。切り離せるとしたらそれはもうただの稼業でしかない。彼女はそれをわかっていて、ただの調査対象にできないこともわかっていて、生活を見届けた上で書き始めている。簡単に終わらせるわけにはいかないから。

沖縄の夜はどんなに暗いだろうか。

沖縄にかぎらない。どうしようもない男と書いたが、人ごとではない。男はメタファーにもなり得るが、どうしようもなく男だ、とも感じる。

どうしようもなくどうしようもない男だ、それは誰も人ごとではない。