救急の二か月が終わろうとしている。
ちかごろ余り眠れなくなった。
私は循環器内科医から侮蔑されているようだ。
他の研修医には優しい循環器内科医も私に対しては容赦ない。
私は自分が無能である意識をいよいよ確かめていく。
この二か月で分かったことは私は全く救急に向いていないということと、私は他の研修医よりも頭が悪いということだ。
人は得意なことで生きたほうがよい。
私はなにが得意なのだろうか。
以前診ていた患者さんがまた入院してきたので病棟まで会いにいった。
以前より弱った彼女は私のことを覚えていてくれた。
30分と短い時間を共有して私は病室から去ったが、「また来てくださいね」と彼女は言うのだ。
患者の人たちと話すのは私にとって一種のよろこびである。
しかし頭の悪い私は、ガイドラインやガンマ計算やさまざまな薬や指示のわからない私は、彼らを助ける術を持たない。
仲間である医療者たちの邪魔でしかない。
私はどうしたらいいかわからない。
空谷子しるす