私情を挟みすぎだと?
私がいつ私情を挟んだいうのだ
ニーズを整理しているだけのこと
言語による情報整理をしているにすぎぬ
それ以上のことができればどれだけよいか!

私情を挟めばよいだと?
私がいつ私情を挟まなかったと言うのだ
いつだって彼を思わないことはない
私のくだらぬ思いで苦しみが和らぐのならどれだけよいか!

私は彼の家族だ
私はよく知っている、彼の家族が生来度し難い存在であることを
しかし、私は彼の家族だ
私の前で彼の家族を中傷するのは看過できない
話せばわかることなのだ
焦慮はいけない
医は仁術ではなかったか
我々には沈黙もあれば言葉もある

彼はどこにいて何をみているのか
もとより肉体は精神の牢獄
文字通り牢獄として病んだ肉体の、その機能がいよいよ強度を増している
私とて牢獄の住人
あらゆる看守の目を盗み、しばし問いかけ、しばし絶句す
私の言葉はなにに向かっているのか
彼はなにをまなざしているのか
牢獄の終わりはどこにあるのか